『愛がなんだ』を読んでみた
『愛がなんだ』
角川文庫
角田光代。好きでも嫌いでもない作家。と言うほど読んでもないか。映画化作品を観ようか迷って結局公開が終わってしまい(このパターン多い)、原作を読んでみた。結果、角田光代が好きになったから読んでよかったな、と。
さえない20代OLのテルコ。友人のパーティで意気投合した田中守(以下マモちゃん)と惹かれあうも、ある日部屋を追い出され、呼び出されれば飛んでいく都合のいい女になっていた。それでもいいと割り切り、嫌われないようにそっけないふりをしつつマモちゃんから連絡があれば万難を排して会いにいくことを繰り返すテルコ。親友の葉子は、それはナメられてる、サイテーの男だよとテルコに正論を言うが自分も中原という年下男子を同じように扱っていた。
ある日マモちゃんが清潔感のない三十路女すみれさんにガチ恋をし、それを知ったテルコは複雑な気持ちに。すみれさんの出現を境に葉子と中原の関係にも変化が生じる。テルコは戸惑いながらもやがてある意味吹っ切れ、マモちゃんにつながっていられる道を模索する....
いやぁ、何だろうこのリアル感。角田光代は恋が愛を経て成就しなかった場合、執着に変化をとげることを見事に描き切っている。
自分はテルコのように、steadyになってくれない相手に固執した経験はない。自分に惹かれてないのに連絡をしてくるような残酷さが相手に無かったからかもな...。それはそれでよかったのだな。捨てられるのはつらかったけど、忘れることができたから。
結局映画もレンタルして観た。成田凌いいね。イケメンすぎないから(←失礼)、マモちゃん役がはまってる。
また読み返したい作品。そういう作品にもっと出会いたい。