Oyanecoのティータイム

本と読書にまつわる雑感。たまに映画。

ブログ、いきなりの躓きw

いやぁ、ブックレビューを中心にはてなブログやろうって思って勢い込みすぎて、全然書けなかった。もともと文章書きたくて始めたのにな....。本業でやってるブログは仕事上の自分を知ってる人が読むからけっこうガチガチに裏とって書いてたから。

 

読書にまつわることそうじゃないこと、自分のTwitterアカウントのキャラじゃないことを書くためのこのブログだったことをやっと思い出した。というわけでもう少し気楽に書いていきます。いきおい、ブックレビュー以外の記事が混じります。ほぼ読まれないだろうけど。

 

それにしてもアメブロはてなブログ、トップ記事の性質からして本当に違うね...。はてなブログの方が自分向きだわ。

 

 

The Unconsoled『充たされざる者』

The Unconsoled

Kazuo Ishiguro

FABER&FABER

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カズオ・イシグロ氏の作品を初めて原書で読んでみました。

な、長い。ハヤカワ文庫で出ている翻訳の方を見ても、日本語で読むのも躊躇する分厚さ。イシグロ氏の文章って、原書だとどうなんだろうという好奇心から読み始めてしまったことを後悔しました.....。何とか読み終わって良かった。

 

イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞されてから読者になった自分はミーハーな部類に入るかもしれません。『日の名残り』『私を離さないで』は日本語で読みました。目の前で展開されるかのような詳細な描写と緻密な文体。小さな出来事の連続から導かれる意外なラストが好きです。

 

主人公Ryderは著明なピアニストで、ヨーロッパのとある地方都市に招かれて来ています。不思議なことにRyderは自分がなぜどういった縁で、何をしに来ているのかよくわかっていません。ただ、出会う人々が口々に 'Thursday evenig' を楽しみにしている、と言うのでそこで自分は演奏をするのだろうと何となく思っています。

 

普通ならホテルの自室でくつろいだり演奏の準備をして過ごすところですが、Ryderはあまたの熱心な誘いを断れず、市民たちの積年の悩みや人間関係のもつれに否応なしに巻き込まれていきます。なぜか出張先のこの町に住んでいる妻Sophie、息子Borisと義父Gustav、ホテルの支配人Hoffman氏、元有名指揮者で今はアル中のBrodsky氏の件を軸に時間は過ぎていきます。

こんなにあちこちでいい顔をして時間をつぶして当日の演奏は大丈夫なのか、どこでもいいからピアノに触れたい、とRyderも焦ってきます。常に紳士らしく人々に対応することを心がけていますが、イラっとして失礼な態度をとってしまうことが徐々に増えてきます。気取った文章がかえって笑いを誘う...。

 

この町の人々の悩みの細かさや自意識過剰さは異常(これが人間というものなのかもしれませんが)。物語が後半になるにつれそれらは人々の人生を左右するほどに重さを増してきます。ヘトヘトになりながらも真剣に向き合い続けるRyder。

そして何と、全くステージで演奏やスピーチをすることがないままにThursday nightは明けてしまい。Ryder自身がとらわれていた呪縛とは、そして彼が負っていた責務とは。仕事に大義を見出す男が見出した事と失ったものとは。伏線を完全に回収とはいきませんでしたが、それなりに晴れ晴れとしたラスト。

 

翻訳の紹介にある「実験的作品」ていう意味はよくわからなかったな~。

 

 

 

『雪子さんの足音』

『雪子さんの足音』 木村紅美 (講談社

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映画化された作品を観ようと思っていたら都合が着かずに公開が終わってしまい、原作を読むことにしました。本書に没頭した結果、映画化された作品を観たいとは思わなくなりました.....。

 

(ブックレビューなので、ネタバレを嫌う人は読まないかとは思うのですが、子細に内容を書く趣味も無いので適当にぼかします)

 

大学3年生で作家志望の湯佐薫(男)は、月光荘というカンカンアパート(外階段2階建ての木賃アパート)の2階に入居します。1階に住む大家の雪子さんは息子を亡くしたばかりの上品な高齢女性。ある日、夕食に呼ばれそれなりに楽しい時間を過ごしますが、その後も頻繁に誘われ(決して強引ではないのですが)、断ると差し入れをもらうように(料理がおいしいのと、食費が浮くので薫も甘えています)。最初の晩同席した小野田さんという同じアパートの若い女性も薫を憎からず(それ以上か)思っているようですが、薫は小野田さんを野暮ったくてうっとうしい存在としか思えず.....。

同じアパートという至近空間にうずまく細やかな愛情が不気味。薫もいろいろ考えすぎてだんだんおかしくなっていきます。誰が悪いわけでもない(途中までは)のに、何だか切ない。

 

登場人物の誰かに一方的に感情移入するような小説ではなかったですが、薫の身勝手さに「おいおい、そこまでしてもらってそうくるか」と突っ込みまくりました。かと思えば「これは、確かにキモイ....」と共感する面も多々ありました。一方、若い男性の世話を焼きたいという雪子さんの願望は自分の中にもあるように思えたり。非モテ女子っぽい小野田さんの気持ちも何かわかる.....。あ、意外と感情移入していました。

 

それでどうなったの?というところまでしっかり読者に見せてくれて、消化不良感が無いところも良かったです。またじっくり読みたいと思わせてくれる作品です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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初めまして。ブックレビューを書くために、はてなブログを始めました。

日本の小説と海外の小説が好きです。たまに社会学系と洋書も。

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